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モードや雑貨が大好きな人には憧れの職業、サロン/バイイング・コーディネーターとして活躍する松本佳代子さん。在仏7年目、アンティークの家具で飾られた可愛らしいアパルトマンにおじゃまして、お話を伺ってきました。(2007-11-08)
 

まず、パリに 来ることになったいきさつを教えてください。
2000年にパリにやってきました。日本の大学ではスペイン語を専攻していて、学生時代はスペインの大学に留学していたんです。帰国後スペイン政府関係機関に勤めていたましたが、退職して今度はメキシコに留学しました。その後、縁あって、スペイン留学時代に知り合った現在の主人(カイエ注:スペイン系フランス人の素敵な旦那さま)と結婚することになり渡仏を決めました。

フランスに来られる前は、どちらかというと スペイン・メキシコ一色という感じだったのですね。
いえ、そうでもないんです。実は、日本にいた頃からフランスのファッションや映画、音楽、アートが大好きだったので、フランスにはとても親しみを感じていました。ですから、こちらに来ることが決まった時は、憧れの国で暮らせるという喜びがありましたね。

スペイン語からフランス語に切り替えるのは大変でしたでしょう?
初めのうちは、主人ともスペイン語で会話していましたが、こちらで暮らすうちに徐々にフランス語に変えてもらいました。
スペイン留学時代に、どれだけ努力をしても超えられない文化の壁にぶつかり重いホームシックにかかってしまい、海外生活の大変さを思い知りました。主人との結婚がなければ、今も日本に住んでいたかもしれません。

日本のブランドGASA*incパリのプレスを担当する松本さんに(写真奥)。

 

デザイナー、Forsのアトリエでお仕事中。日本のショップへのオリジナルを提案したり、日本人の体型に合ったサイズを研究したり・・・

現在のお仕事、サロン/バイイング・コーディネーターはちょっと耳慣れない職業ですが、実際にどんな活動をされているのか教えてください。
なかなか、ひとくくりにはできない仕事なのですが、簡潔に例えるなら、「フランスの新クリエイター発掘作業」という感じでしょうか。まだ日本に紹介されていないフランスの新しいクリエイターや商品を日々探して、契約している日本のファッション関係の会社やセレクトショップへその情報をレポートしています。パリはもちろん、フランス各地で活動する小さなクリエイターさんたちがたくさんいらっしゃいますが、必ずしも国際的なサロン(展示会)に出展できる人ばかりではありません。そんなクリエイターさんと、日本のバイヤーさんたちの橋渡しといった仕事といえるでしょう。

松本さんのおかげで日本のバイヤーさんが 何度もフランスに足を運んで、新しいクリエイターさんを探し回る手間が省けるわけですね。
でも、私の仕事はあくまでも情報を伝えることですので、実際にそのクリエイターさんの商品を購入して、日本のショップに置くかどうかは、バイヤーさんの判断です。私のレポートが、年数回パリで行われる大規模なファッションのサロンにいらっしゃるバイヤーさんの下調べの材料になると言った方が正しいかもしれません。
そして、サロン会期中は、日本からいらしたバイヤーさんの通訳やアテンドの仕事もしています。限られた時間の中、取引先ブランドのショールームや注目の新ブランドをスムーズに見て回れるよう、クリエイターさんと事前にアポを取るなどのスケジュール調整をしています。
 

他にはどんな活動をされていますか?
現在は、主に4人のクリエイターさんと密着した仕事をしています。

パリ在住のスウェーデン人デザイナーが手がけるFors(フォース)は、繊細なレースを手作業で切断して丁寧に縫い付けるという、昔ながらの細やかな手仕事の技術を大切にしているブランドです。特に、豊富なカラーバリエーションが特徴で、レースとベースの色を、それぞれのショップやお客さまのニーズに合わせてカスタマイズすることが可能です。日本人の体型に合わせた服作りや、ショップオリジナルのコラボレーション商品の提案など、Forsと日本のお客さまの間に立って、綿密な打ち合わせを重ねます。
デザイナー直々に、お客さまひとりひとりの着心地の良さを考えてカスタマイズしてくれるブランドはそうありませんよね。

今度新たに、日本人向けのマタニティーと子供服のコレクションも始めました。Forsの優しい素材が、特にお肌が敏感になる妊婦さんにぴったりだと思います。

肌触りの良さと手仕事ならではの着心地が人気のFors。

デザイナーのMaria Forsさん(左)
新しく登場したマタニティーと子供服(右)

レ・プチ ブラブラという可愛らしい名前の子供服ブランド。
©Les Petits bla-blas

 

モラトの手作りリング(左)
日本でも人気のGASA*incの素敵なドレス(右)

子供服では、Les petitsbla-blas(レ・プチ ブラブラ)というブランドも扱っています。デザイナー自身も2人の子供を持つ現役ママで、パリらしい キュートなデザインの子供服ばかりです。パリではボンマルシェでも購入できます。

アクセサリーでは、Marie-Jos
é MORATOマリージョゼ・モラト)というマルセイユ在住のデザイナーを紹介しています。指輪はすべて本人が手作業で製作していて、指輪を入れる箱も、彼女自身がこだわって作っています。とても温かみのあるリング です。
世界にひとつだけの1点ものばかりですので、結婚指輪としてオーダーされる方が多いですね。オリジナルの結婚指輪を探している方は、是非ご連絡下さい。

GASA*inc(ガサは、唯一の日本人デザイナーさんです。日本ではGINZAやシュプール、SO-ENといったファッション誌でも頻繁に紹介されていて、芸能人のファンも多いブランドです。
私の仕事は、ガサがパリの展示会に出展する際のプレゼンテーション、ブースの手配、そしてサロン 終了後、海外への輸出サポート、ヨーロッパへのサンプル貸出しなどの営業、プレス、輸出事務などです。
 

なるほど、まさに「コーディネーター」という名前がぴったり の、多種多彩なお仕事ですね。パリに来て、バイイング・コーディネーターを始めたきっかけは?
もともと雑貨やファッションは好きだったので、興味はありました。渡仏してまもなく日仏間のバイイング・オフィスに就職しましたが、最初はゴミ拾いやお使いなどの雑用から始めて、右も左も分からず大変でした。今では笑えるようなミスも多々してきました。それでも、華やかな雰囲気の展示会で、好きな洋服や雑貨に触れられるという点は、とても魅力的でした。

そして現在は、フリーランスで活動されていらっしゃいますね。

はい。バイイング・オフィスでの仕事は、ヨーロッパ各地への出張も多く、出産を機に退職することになりました。1年ほど子育てに集中していたのですが、自然とまた人とのふれ合いを求めるようになり、仕事がしたい!という欲求がわいてき たんです。
その頃、偶然にも以前お付き合いのあったセレクトショップのバイヤーの方が私の情報や提案を気に入って頂いており、声をかけて頂いて現在のコーディネーターの仕事を再開することになりました。
 

日本にいらっしゃるお姉さまと一緒に、会社も経営されているんですよね?
「Moitié Moitié」(モワティエ・モワティエ)という会社で、姉の住む熊本と私のいるパリに事務所を設けています。仕事柄かパリのアーティストさんが作品を見せに来てくれます。きめ細やかなニーズもダイレクトに聞けますし、ただ商品送っておしまいと言うのではなく、2人が好きな「大量生産にない良さ」を大切にできるので。
先程お話したForsというブランドを例に取ると、日本のお客さまの希望を姉がうかがい、私がパリ在住のデザイナーに伝え小まめに打ち合わせをしながら、商品を完成させてゆきます。1点物やオリジナルの企画も大好きなんですよ。姉妹なのでケンカもしますが、ワンクッションないので正直に仕事ができます。ショップとのカスタマイズも行っています。
また、フランス→日本の一方通行ではなく、最近では、日本のクリエイターさんをフランスにどんどん紹介してゆく活動も行っています。ユーロ高の影響もあって、今はフランスが日本の面白いクリエイターさんや日本ならではの商品を探しているんです。

 

ファッション以外に取り扱っているもの はありますか?
はい。フランスの雑貨や蚤の市で見つけたヴィンテージパーツ、時には一般人のマダムからいただいたアンティークの布やレースも扱っています。そんなヴィンテージのリボンを使って、1点ものやセレクトショップオリジナル制作のソースになるようにご提案や企画もしています。
失われつつある繊細な技術で作られたレースや刺繍、ボタンを、日本の若いクリエイターさんたちがリメイクしたり、作品の一部に使ってくりたりするのを見ると、長い間大切に受け継がれたものが、さらに新しい命を得て引き継がれていくようで、喜びを感じますね。

また、日本の伝統工芸品や可愛らしい雑貨、健康グッズに至るまで、日本の良いものをフランスに紹介していきたいと思っています。地元熊本ののどかな自然が育んだオーガニック商品なんかも素敵なのがあるんですよ。フランスのBIO(オーガニック)ブームに乗って、フランスで人気になると良いんですが(笑)・・・。新しい商品開発もしてみたいと考えています。
 


日本のセレクトショップに卸しているヴィンテージパーツ。色とりどりで、 眺めているだけでもワクワクします。

アンティークの刺繍入り布を
リメイクした松本さん手作りのカーテン!

 

Forsのニットを着て
ニコリの松本さん。

さて、今年でフランス7年目の松本さん。パリ生活での楽しみはなんですか?
楽しみはなんといっても蚤の市です!渡仏前から雑貨やアンティークが大好きでしたが、パリの蚤の市にほとんど毎週のように足を運べるのは幸せです。蚤の市で古いものを眺めている時は、仕事のことも家族のこともふっとんで、自分だけの時間になっちゃいます。値切るのも好きで、変な達成感があるのでやめられません。(笑)
日本では、「ただの古びた汚いもの」と捨てられてしまうものが、フランスでは価値のあるものとして、長い間大切に受け継がれているという意識に感銘を受けます。
フランスに来たおかげで、逆に日本のアンティークにも興味を持つようになりました。熊本の納屋にある祖母の嫁入り道具の古い家具は、私が引き取ります!と家族に宣言しています(笑)。
あとは、くいしんぼうなので、おいしいワインと、それにぴったりあったおいしいごはんを味わう事ですね。

逆に、これはツライ!ということはありますか?
パリに来たばかりの頃は、フランス語もまだ不自由だったこともあって、ダイレクトなコメントや誹謗にショックを受けることが多々ありました。日本では、見ず知らずの人にこんなことは言わないだろう、ということも、フランスでは平気で言ってのける文化があります。

投げつけられたキツイ内容のフランス語を、頭で日本語に訳すとさらにダメージが増すので、いちいち日本語に訳さないようにしよう、と決めました。
今では、そんなコメントもあまりシリアスには捉えずに、フランス流のウィットのきいた返しができるようになりました。フランスに暮らして、人生勉強を かなりさせてもらったと思います。

フランス人と仕事する上で、苦労されることはありますか?
お国柄なので仕方がありませんが、やはり納期や支払いがルーズなところ。「バカンスに出かけるので、支払いは戻ってから・・・」なんて平気で言ってのけるフランス人と日本のお客様の間に立って、なんとかスムーズにお取引が成立するよう努力していますたまにはフランス人におどしをかけてみたりもします。ケンカごしにもなりますが、責任がありますから。日本人とフランス人の交渉のやり方は、全く違うと思いますね。
逆に、フランスのペースに慣れてしまうと、決められた時間内になんでも完璧にこなされる日本の方と仕事をする際は、プレッシャーを感じますね。

最後に、これからの展望を教えて下さい。
まだまだ沢山素敵なアーティストさんが眠っているのです。もちろん日本にも素敵なアーティストさんやデザイナーさんはいる事でしょう。作品をこつこつ作られている方を見ると、本当に好きで作っているのだな!と感銘を受けます。多くの人にこの方たちの作品を見てもらいたいなって純粋に感じます。
パリには小さなアトリエが沢山あるんですよ。パリに来たら観光名所とは違うアトリエ観光!って言うのはどうでしょう?そんな方をご紹介していきたいし、本にもしてみたいですね。また日本の素敵な物もフランスにご紹介していきたいです。私の作品を沢山の人に見てもらいたいな!って思われている方は是非とも作品を見せて下さいね。

楽しいお話、どうもありがとうございました!

モワティエ・モワティエのコンタクト先
Fors、Les petitsbla-blas、Marie-José MORATO
雑貨、ヴィンテージパーツなどのお問合せはこちらです。
moitie.moitie@hotmail.co.jp
フランス事務所 Tel:+33 (0)1 43 49 17 86
*パリ、日本事務所は土・日曜お休みです。

GASA*inc(ガサの公式サイト

FORS(フォース)の公式サイト
 


編集部より
展示会でお会いした松本さん。小柄でキュートな彼女の口から飛び出す、元気な熊本弁が印象的な 、とても素敵な女性でした。大好きなファッションや雑貨、ヴィンテージを日本に伝え、そして、日本のクリエイターや伝統工芸をフランスに伝える・・・とても素晴らしい仕事を手がけていらっしゃいますよね。これからも、ますますのご活躍をお祈りしています!
 

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