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少し前、日本でもブームになったカヌレ。食べてみたことのある方も多いかもしれません。菊のような形の小さな型で焼いたこのお菓子は、フランス・ボルドー地方の名産です。一見、普通の焼き菓子に見えますが実はとても奥が深く、高い技術が必要。そのせいか、パリのお菓子屋さんではあまり見かけないし、あってもイマイチだったりします。そんな中、カヌレの老舗ルモワンで働く日本人「めぐみさん」からご連絡をいただき、お店の一つがパリにあると聞いて早速取材してきました。(2008-05-27)
 

ルモワンのお話をする前に、カヌレの歴史をおさらいしましょう。フランス王ルイ12世の妻ジャンヌが気に入っていた、という逸話が伝わっている、つまり、既に16世紀には存在していた歴史のあるお菓子です。当初はボルドーの修道女たちが作っていましたが、フランス革命の打撃を受けた後、ルモワンを始め多くのパティシエたちがカヌレ作りを再開。忘れられたり、流行したり、時代の波にもまれながらも人々に愛され、21世紀の今まで生き延びてきたお菓子なのです。

カヌレがボルドー周辺で発達したのには理由があります。ボルドーと言えばワイン。そのワインの澱(おり)を取り除くために卵白を使用します。そこで余った卵黄の使い道としてカヌレが考えられたのだそうです。その卵黄のほか、砂糖、小麦粉、牛乳、ラム酒、バター、そしてバニラビーンズを混ぜ、一晩寝かせてからカヌレ型に流し込んで焼く。と、書くと誰にでもできそうですが、できないんですよね・・・。やっぱりカヌレは専門店で買うに限る!というわけで、パリで唯一と言っても過言ではないカヌレ専門店、ルモワンをご紹介しましょう。
 

カヌレ型にLの文字が美しいロゴ カヌレ 1個2 / 6個10 ベベ・カヌレ 1個1 / 15個10

ルモワンのパリ店はエッフェル塔とアンヴァリッドの中間、サン・ドミニク通りにあり、黒くてシックなファサードが一際目立っています。このあたりはビストロのシェ・ラミ・ジャンやイベリコハムのベジョータ・ベジョータ、パン屋のセッコなどカイエでもご紹介している美味しいお店に囲まれた、食いしん坊にはたまらない界隈です。

このお店で迎えてくれるのは、月の半分ずつパリとボルドーを行き来しているという働き者のマダム・ルモワンと、店員のエミリーさん、そして、「ぜひもっと多くの方にルモワンのカヌレを味わっていただきたい」と今回ご連絡くださった日本人のめぐみさん。早速、いろいろとお話を伺いました。

ルモワンのカヌレはどこで作られるのですか?

ルモワンはサンテミリヨンを始め、ボルドー近辺に5つの店舗を構えており、パリ店のカヌレも下準備はすべてボルドーのアトリエで行われます。やっぱり秘伝の配合があるようで、私も詳しいレシピは知らないぐらいなんです!パリに運ばれた生地を使って実際に焼く作業は私を始めとする店員の仕事。すべて手作業です。マダム直々に焼き方を教わりましたが、だいぶ慣れてきた今でもなかなか気が抜けません。

カヌレ作りの難しさには、どういうところがありますか?
普通の焼き菓子だろう、なんて最初は甘く見ていたのですが、実は本当にデリケート。その日の天気や湿度、生地の具合によって、焼き時間も細かく調整する必要があります。それに、普通クッキーなどをオーブンに入れると、端のほうに置いたものがよく焼けるってことがありますよね?ところがカヌレにはそういう法則もないんです。ほんとにそれぞれのカヌレが別々の個性を持っているかのように焼け方が違うので、日々勉強ですね。何しろ、このお店にはプロのパティシエたちも買いに来るくらいですから、やはりカヌレ作りというのはたとえプロでも難しいということの証明ですね。

ルモワンのカヌレを一言で言うと?
外側の香ばしさと内側の柔らかさ、そして風味。店員だからではなく、本当に、美味しいカヌレだと思います。実はここで働く前から、好きで通っていたぐらいなので・・・。

パリ店は2006年にオープンしたそうですが、パリジャンの反応は?
皆さんお好きですね。近くで働いている方はデザートに1つだけ買っていったり、気に入るとプレゼントに箱詰めを買っていったり。カヌレはいろんな焼き加減のものができるので、好みで選んでいただけるのですが、パリの方は「あまり焼けすぎてないもの(pas trop cuit=パ・トロ・キュイ)」を、地元ボルドーの方は「よく焼けているもの(bien cuit=ビアン・キュイ)」を好まれます。私自身は、よく焼けて香ばしいものが好みですけど。ちなみに、「普通」が好みの場合は、moyen(モワイヤン)と言っていただけば伝わります。
場所柄、外国人の旅行者の方も多いですが、とりわけカヌレに興味を示されるのはやはり日本の方、そしてイタリアの方ですね。無骨な姿に似合わず繊細な味わいのお菓子なので、やはり「違いのわかる方」が好まれるのかも・・・?

カヌレは常温保存がきくんですよね?
はい、ルモワンの普通の大きさのカヌレは常温で10日、小さなサイズのベベ・カヌレは5日持ちますから、日本へのおみやげにぴったりです。日本でもカヌレを買うことはできると思いますが、やはり本場のものを味わっていただきたいですね。ただ、カヌレは湿気の影響を受けやすいので、お店では毎日焼いたものを販売しています。焼いた日のカリッとした食感は当日だけですが、その後も美味しさは変わりません。日本に帰国後、150度くらいのオーブンで10分ほど温めると焼きたての美味しさを味わって頂けます。
 
カヌレ以外のお菓子も ボルドーに近いバスクのお菓子、ガトー・バスクは素朴な味わいが人気 ヌガティンをチョコでコーティングしたお菓子
ラファエルのコンフィチュール 1個5 エッフェル塔型のカラフルなチョコレート 1個15 カカオ分が多いのにとても食べやすい板チョコ 1枚8
ルモワンが創業したのは18世紀。そして今、ルモワンを切り盛りしているムッシュー &マダム・ルモワンはなんと6代目。そして、彼らの息子さん2人、つまり将来の7代目もパティシエとなり、歴史あるメゾンを受け継いでいます。カヌレの伝統を守るのはもちろんのこと、素朴な味わいのお菓子やこだわりのチョコレートもルモワンのスペシャリテに加わりました。特に、エッフェル塔の形をしたチョコレートはなんともアートな風貌で、パリ土産にぴったりです。
それからもう一つ、「このためにこの店に来る」という方が多いのが、ラファエルのコンフィチュール。マダム・ルモワンがラファエルさんとお友達ということで、このお店でも取り扱っています。 ラファエルさんの自家農園で作られた果物いっぱいのコンフィチュール、その果肉率はなんと60%!スーパーで売っている他のジャムが20%程度であることを考えると、その美味しさ、果物の風味の濃さは一度食べると病みつきになる 味です。
 
ルモワンはパリにいながらにして本場のカヌレが味わえるありがたいお店。ボルドーそしてフランスの食の歴史と伝統が、こういうお店の情熱によって守られていくのか、と思うとなんだか手のひらにのせたカヌレが大きく見えました。今回取材にご協力いただいためぐみさんは週の半分ほどお店に出ているとのこと。たとえめぐみさんがいなくても心配は無用。マダムも、もう一人の店員さんのエミリーさんもとても気さくな方なので、気軽にお店に入ってみてください。
 
Lemoine
ルモワン
74, rue Saint Dominique 75007 Paris
01 45 51 38 14
La Tour Maubourg 8番線または Invalides 8,13番線  徒歩3分
8:30〜20:00(11:00〜11:40の間、配達のため店を閉めている場合あり)
なお、普通サイズのカヌレは朝10時ごろ、ベベ・カヌレは9時30分ごろに焼きあがるそうです。
年中無休
http://www.canele-lemoine.com/(英語あり)
めぐみさんへの日本語での問合せはこちらから
 

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