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45.
意外に良かった!ラパン・アジル体験
パリのシャンソン酒場「オ・ラパン・アジル」のことを書いていないガイドブックはないかもしれません。それほど有名な場所でありながら、行ったことがあるという方は案外少ないのがこのお店。かくいう私も「(悪い意味で)観光客向けだろう」と食わず嫌いをしていましたが、シャンソン好きな日本からのお客様が「どうしても行きたい」と言うのでついに初体験。これがなんと、想像以上に良かったので読者の皆さんにもお伝えしたいと思います。
「すばしこいウサギ」という意味のラパン・アジルは19世紀半ばに誕生。モンマルトルの丘の上にあり、ピンクのファサードが目印。目の前には小さな葡萄畑が広がっています。画家のユトリロやピカソなど、多くのアーティストたちに愛されたこのシャンソニエ、オープンは夜9時で、そのまま夜中の2時頃までノンストップ。料金に含まれているワンドリンクで最後まで粘ることもできるし、もちろん途中で来たり帰ったりしてもOKという自由なスタイルです。
当時のまま残された薄暗い店内に舞台らしきものはなく、酒場にただぽつんと小さなピアノが置かれているだけ。観客は酒場の壁を背にしてぐるりと取り囲む形で素朴な木の椅子に座ります。飲み物を注文して(この店に昔から伝わるサクランボ酒がオススメ)のんびり待っていると、突然、ピアニストの渋いおじさまが登場。名前はわからないけれどステキな曲を演奏し始めます。少しすると、歌手らしき5〜6人の男女が入ってきて、真ん中のテーブルを囲んで座り、お酒を飲みながら歌い始めるのです。そう、まるで歌好きな人々が、お酒で気分が良くなって勝手に歌いだした、とでもいうように・・・聴いている私たちはあっという間にその世界に引きずりこまれてしまいます。そう、まさに映画「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」の世界です。歌い手さんの顔ぶれも、老若男女さまざま。歌がうまいのはもちろんのこと、それぞれにオリジナリティのある声と歌い方が魅力的でした。
聴ける曲はバルバラやジョルジュ・ブラッサンス、シャルル・トレネ、レオ・フェレなど、まさにフランスの「懐メロ」。一緒に行った30代半ばのフランス人は「古い歌だけど全部知ってる、懐かしい・・・」と言っていましたし、他のフランス人たちも一緒になって口ずさんでいました。曲の前にはその曲名や由来などを説明してくれるのですが、それはもちろんフランス語。たとえ全然わからなくても、曲の良さと歌唱力で十分楽しめます。もちろん「愛の讃歌」や「パリの屋根の下」など、日本人にも馴染みの歌もちゃんと聴けますよ。歌手兼司会の方々はとにかく楽しませ上手。お店を出た後「あぁー楽しい時間だった」と心から思えました。
ご存知かもしれませんが、「シャンソン」はフランス語では単に「歌」という意味でしかありません。ピアフや越路吹雪が歌った日本人にとっての「シャンソン」はフランス人にとっては「超のつく懐メロ」といったところ。このような曲を生で聞ける場所は、パリ広しと言えどももうこのお店だけなのです。音楽好きな方はもちろん、古き良きパリの雰囲気を味わいたいなら一度はぜひ足を運んでいただきたい、とっても貴重なシャンソン酒場です。
予約その他の情報は「パリの基本」紹介記事をご覧ください。
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