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パリから本場の情報を発信するお菓子研究家、上松美保さん。
自宅でのお菓子教室のほか日本の雑誌での記事執筆やレシピ提供などさまざまな形で活躍されています。フランス版「Elle a Table」のお菓子コンクールにて上位入賞した実力の持ち主でもあります。
インタビュー前半は、お菓子研究家を目指したいきさつなど・・・(2006-10-21)
 

©Miho Uematsu
10歳の時のプリン・・・ではもちろんなく、最近美保さんが作ったクレーム・キャラメル。美味しそう・・・

初めてお菓子 を作った記憶はいつのことですか?
10歳の時、ボウルに特大のプリンを作ったのが最初です。お菓子作りが嫌いな母から、自分で作ったら、と本を渡されたのがきっかけでした。その本は今も大事にとってありますよ。中学高校時代は毎朝起きてすぐにパウンドケーキの生地を作ってオーブンに入れ、焼いている間に準備をして、できあがったケーキを学校に持って行って友達と食べていました。

同級生はラッキーでしたね!そんなにお菓子作りにハマっていたのに、パティシエではなくお菓子研究家になろうと思ったのはなぜですか?
お菓子研究家の今田美奈子さんの本を読んだのがきっかけです。作ったものを売るのではなく、大好きなお菓子について文章を書く仕事が自分に向いているのでは、と思いました。
大学ではやはりお菓子≒フランスということもあって、仏文を専攻しました。友人とシェアしていた下宿先は広いシステムキッチンのある部屋だったので、お菓子作りも熱心にしていましたよ。
 

©Miho Uematsu
Elle a Tableのお菓子コンクールで上位入賞した美保さんのケーキ

さすが、美保さん宅の本棚はお菓子の本でいっぱい!

大学卒業後は?
普通に就職することも考えましたが、やはりお菓子で生きていこうと決意して、東京のコルドン・ブルーに通いました。製菓専門学校という道もあったのですが、パリにも学校のあるコルドンを選んだのはやはり、いつかパリに行ってみたいという気持ちがあったからです。
 

東京のコルドン・ブルーはどんな感じ?
パティシエ志望というよりは趣味で楽しんでいるという生徒さんも多くて、比較的のんびりしていました。一方、授業の内容はまるで本を読んでいるような細かさでしたね。
この時期、新宿にあったデザート屋さんでアルバイトをしていたのですが、やはりお菓子やデザート作りは体力勝負なところも多く、男の世界!ということを実感しました。私のなかのお菓子のイメージとは、やはりかけ離れていくんですね。甘く優しいイメージのお菓子の楽しさを伝えてゆくお菓子研究家になりたいという気持ちがより強くなりました。

それからフランスに留学したんですね?
フランスには97年秋から99年春までいました。まずはパリのコルドン・ブルーでお菓子の授業に通い、その間にジェラール・ミュロで研修もしました。パリのコルドンは東京とくらべて説明が大ざっぱ。「なぜそうするのか?」と聞いても、答えは「いつもそうしてるから」ということも。でも次第に、そういう大ざっぱさも時には有効なんだな、ということを学びましたね。

ずっとパリにいたんですか?
実はパリで現在の夫と知り合い、途中で彼が住んでいた大西洋岸のラ・ロッシェルに引っ越しました。ラ・ロッシェルではあるレストランのデザートを担当していました。地下で黙々とお菓子作りをしていたミュロでの研修より、自分の作ったデザートを食べるお客様の姿が見えるこのレストランでの研修は自分に合ってましたね。

ラ・ロッシェルはどうでしたか?
やはり地方都市はパリと比べると美味しいお菓子屋さんがぐんと減るので、それは辛かったですね。もともと外国人が少ない場所なのでフランス人に囲まれて生活していました。自分のお菓子を「本場」であるフランス人に美味しいと言ってもらえたのは自信になりました。

そうして修業時代が終わり・・・
99年春、一旦実家のある福岡に戻り、友人のオープンするカフェのお菓子を担当しました。それから半年ほどして東京に移りました。
 

お菓子研究家になるなら、やはり東京しかない、と。
そうですね。でも東京に行っても手探り状態です。だいたい、「○○をすればお菓子研究家になれる」なんてどこにも書いてないですからね。お菓子研究家のアシスタントなんて、まったく募集してないし・・・それでもダメもとで、と思って、履歴書と手紙をFaxで送ったのが、大森由紀子先生でした。私がフランスにいた時に一番気に入っていたのがこの方の本だったからです。

お菓子研究家、大森由紀子さんの著書。お持ちの方も多いのでは?

それで採用されたとは、強運というか、すごいですね!
今でもお菓子研究家のアシスタント志望の方から「どうしたらなれるんですか?」なんて質問がくることがありますが、こればっかりは本当に、運が良かったのかな、としか言えません。翌朝ご本人から電話があって、一度会ってみましょうと言われ、採用していただけました。これまでは先生のお菓子教室に長年通っていた人を起用していたそうで、後日先生は「なんとなくピンときて、採用してみようかなと思った」なんておっしゃっていました。
 

アシスタント時代、美保さんが作って本に掲載されたケーキ。オーブンの中ですごい形になってしまったとは思えない、美しい出来栄えですね。

アシスタントのお仕事とは?
試作のお手伝いや本の撮影時の雑用、それに簡単なお菓子はレシピを渡されて、撮影用のものを先生の代わりに作ることもありました。撮影用のお菓子作りは失敗できないので、特に一発勝負の焼き菓子などは緊張しましたね。たとえば紙の型を使って焼いたパウンドケーキが、焼いている間にすごい形になってしまって、慌てて形を整えたり・・・。今までは読者だったお菓子の本を作る立場になって興味深かったです。結局、パリに引っ越すまでの2年間、アシスタントをさせていただきました。
 

パリ生活の様子やおすすめのケーキ屋さんなど、後編 はこちら

上松美保さんのホームページ:Polly's Atelier
お菓子教室のお問い合わせ:
atelierpolly@online.fr

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