|
大きな松の絵が正面に描かれたシンプルな装飾。舞台の手前には一段低い部分が作られており、そこを花道代わりに使うようです。さすがにオペラ・ガルニエに花道を設置することはできなかったんですね。 上演中の写真撮影はもちろん禁止されていますので、歌舞伎初心者なりに、感想をお届けしたいと思います。
最初の演目は、市川家の十八番でもある「勧進帳」。
源義経とその従者たちが源頼朝の追手を逃れて陸奥へと向かう途中、
義経を捕らえよとの命令を受けた加賀の関で関守の富樫左衛門に行く手を阻まれます。山伏の姿に変装していた義経一行は、武蔵坊弁慶の機転
と、富樫左衛門の情けで、ようやく危機を脱するという物語です。
千秋楽は團十郎が弁慶を、海老蔵が富樫左衛門を演じました。一番印象に残ったのは、関守を騙すために弁慶がニセの勧進帳を堂々と読み上げる場面。團十郎の気迫が伝わってきました。
舞台の一番上に表示されるフランス語字幕は、フランス人はもちろんのこと、歌舞伎は初心者だけどフランス語は多少わかる、という日本人にも、とてもありがたいシステム。同行したフランス人曰く、単なる翻訳文ではなく、とても詩的で美しいテキストだったとのことでした。木々や花や風などの自然についてのせりふや状況説明が、実は登場人物の心情の比喩になっていたりして、本当に奥が深いのですね。
役者さんが最初に登場する際に必ず拍手が沸き起こったり、途中でも「成田屋I」などと掛け声が飛んだりするのに、歌舞伎が初めてのフランス人は驚いていたようでした。
|